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この記事では、個人事業主の税務調査の体験談も交えながら、税務調査の初めから終わりまでの流れ、税務調査の時期について詳しく説明しています。
また、税務署から税務調査の連絡が入ってからでも、税務調査の立ち合いを税理士にスポットで依頼することができるのですが、
意外と知らない方が多いので、税務調査スポットの税理士の探し方、料金についても、詳しく説明しています。
一度、依頼したからといって、スポット税理士をそのまま継続する必要はありません。
税務調査が終了したらそれで契約は終了です。
まず、個人の税務調査ですが、一般的なサラリーマンならマンション購入や相続など特別なことがない限り、税務調査が入ることはありません。
しかし、
場合は、確定申告をしていなければ税務調査に入られる可能性があります。
ネットオークションなどで、自分でも気づかないうちに実は「副業」をしていた、というケースもあるので注意してください。
突然、税務調査の連絡が入った個人事業主が税務調査専門のスポット税理士を頼んで乗り切った事例です。
私の会社は年収1,000万円以下の小規模な会社でしたが、ある日突然税務調査の連絡がありました。
与えられた猶予はわずか1ヶ月。
慌てて、ネットで調べた税理士に相談し、必要と言われた資料を持参して、その日の夕方に税理士事務所を訪問しました。
税理士は問題点や論点となりそうな箇所を指摘し、売上等を再度集計した結果、誤りがあったため、税務調査が実施される前に事前に修正申告書を作成し、提出することとなりました。
打合せが急だったこともあり、資料についてすべてがそろっているわけではありませんでしたので、1週間かけて不足資料を収集し、
2回目の税理士事務所訪問で提出しました。
調査対象期間は3年と税務署職員から言われていましたが、税理士は消費税の納税義務の確認も行われることが容易に想像できるというので、
5年前の通帳のコピーも追加で取得。
第2回の面談でも、解消しなかった事項については引き続き、資料収集。
当初は3年分の修正申告書を作成する予定でした。
しかし、4年分の修正申告を作成したほうが負担する税金が軽減されることが判明し、急遽4年分の修正申告を行うこととなりました。
第1回目の打ち合わせから17日後に、調査前最終打合せ。
修正申告の内容について理解し、電子申告にて調査前に事前申告を行いました。
税務署職員から連絡があった24日後に税務調査を迎えました。
税務調査場所は、依頼した税理士事務所。
税務調査実施後、6日後、調査結果の連絡が入りました。
「提出した申告書に特に誤りは認められないため、税務調査を終了します」とのことでした。
調査連絡から事前修正申告作成までは約3週間、税務調査実施からは6日というスピード決着です。
私がお願いした税理士は国税OB出身の税理士の登録が多い「税務調査立会ドットコム」で紹介してもらいました。
費用は総額で約20万円。
グレーな請求は無く明朗会計で余分な持ち出しはありませんでした。
◆10:00〜12:00
初日の午前中は、社長に会社の概要について質問されます。
中小企業の社長は忙しいので、この午前中だけ税務署員の相手をすれば、それ以降は同席する必要はありません。
午前中に質問される主な内容
ここで注意してほしいのが、社長の趣味の費用が経費に計上されていないか?
売上は請求書を発行したときではなく、「商品を引き渡したとき」や「サービスを提供したとき」が売上計上になるということを確認しておくことです。
場合によっては、売上のごまかし、不正経理と取られてしまいます。
◆12:00〜13:00
税務署の調査官は食事を用意しても食べることはありません。
必ず外に食べに行きます。
◆13:00〜16:00
あらかじめ、用意しておいた資料への調査が始まります。
資料は事前に、調査官から用意する資料の指示があります。
調査中にも、追加の資料が要求されることがありますが、税理士あるいは社員が提出できればいいですが、
社長しかわからない資料があれば、翌日までに用意しておくことになります。
◆16:00〜16:30
16時頃には調査は一旦終了になります。
調査で問題となった箇所や、翌日に用意してもらいたい資料の打ち合わせをして調査官は税務署に戻ります。
◆10:00〜12:00
資料調査
◆12:00〜13:00
昼食
◆13:00〜16:00
資料調査
◆16:00〜〜16:30
2日間の調査内容について概要の報告があります。
問題があれば、その場で説明があることもありますが、その場では詳しい説明はありません。
調査の間、調査官は怪しいと思ったところをドンドンコピーを取っているので、資料を持ち帰り、精査したのち上司に報告し「否認事項」が決定します。
会社でコピーを取ることができない場合は、調査官が資料を借りていくこともあります。
調査官が納税者の承諾を得て資料を借りていくことを「留置き」というのですが、
業務に必要な書類を税務署が借りていくことになれば、仕事に支障が出てしまいます。
重要な書類は、事前にコピーしておくと安心です。
調査日から1週間〜1ヶ月後ぐらいに税務署から「否認事項」と「追徴税額」の連絡が入ります。
「否認事項」と「追徴税額」に意義がなければ、「修正申告書」を作成し、税務署に提出し、追徴税額を納付すれば税務調査終了です。
2日間の調査結果で、税務署の「否認事項」がなく、申告内容が「是認」ならば修正申告書を提出する必要はありません。
修正申告の場合、不足分の税額を納めるのですが、納期限を過ぎているため、不足分の税額に加えて延滞税や過少申告加算税、重加算税がかかることがあります。
追徴税額が高額で支払うことが出来ない時は、相談すれば分割にしてくれます。
しかし、とても高率な延滞税がかかります。
利息:年利14.6%。(修正申告書を提出した日から2ヶ月は約4%)
否認事項は税務署の判断で決まります。
こちらが正しいと思っても、税務署が否認すればそれまでです。
ここで、税務署とやりあうことができるかどうかは税理士の力量次第。
多くの税理士は税務署の言うがままに従うケースがほとんどです。
税理士は税務署員との接触の機会が多いことから、悪い印象をもたれないようにと、なあなあで済ますからです。
税務署の判断に納得できない時は、税務署長または国税局長に異議申立をします。
異議申し立ての処分についてもまだ納得できず、経理処理が正しいと確信しているのなら裁判することもできます。
経理処理が絶対に正しく、税務署員が間違っていると確信するのなら、
修正申告に応じずに更正処分を願い出て裁判をチラつかせるのも一つの手です。
経理処理は正しいと強気で主張することで、裁判用の資料作成を面倒がる調査官が譲歩することが多いです。
修正申告も裁判の更生処分も、金銭的な負担は変わらないのでやってみる価値は大いにあります。
税務調査はなにも、税金を追加で納めるだけではありません。
反対に税金を納め過ぎていることがわかれば、税金の還付を受けることができます。
税務署に更生の請求をするのですが、期間が原則として法定申告期限から5年間と定められています。
更正の請求を行うケースは少ないですが、せめて顧問税理士に追加納税がないように頑張ってもらいたいですよね。
顧問税理士がいない会社でも、税務署から税務調査の連絡が入ってからでも、税務調査専門の税理士に税務調査の立ち合いをスポットで依頼することができます。
顧問税理士なら税務調査の立ち合いも顧問料の中に含まれていると思われるかもしれませんが、
一般的に通常の顧問契約内容には、税務調査への立ち会いは含まれていません。
ですので、税務調査専門の税理士にスポットで依頼した場合と、支払う料金はほとんど変わらないです。
ただし、税務調査前の書類の準備とか、税務相談などは、別途3万円〜5万円の料金が掛かりますが、
顧問税理士の場合は顧問契約の中に含まれていることが多く請求されることは少ないです。
一般の税理士が「税務調査」を経験するのは年に1回あるかないか。
多くの税理士は税務調査を苦手としていて、税務署の言いなりです。
その点、税務調査専門の税理士紹介サービスで紹介してくれる税理士は税務調査立会のベテラン揃い。
税務調査専門の税理士の料金は、「1日4〜6万円 × 調査日数」、
もしくは1時間1万円が料金の相場です。
あとで紹介しますが、法人、個人事業主問わず立会料は1日1万円ポッキリ、成功報酬なしという明朗会計の税務調査専門税理士もいます。
どの税理士でもですが、税務調査後に修正申告が必要になった場合は、修正申告料金が10万円〜20万円が追加でかかります。
税理士と顧問契約をしているのなら、税理士が税務調査に立ち会ってくれます。
まだ、税理士と契約していなければ税務調査専門の税理士にスポットで税務調査の立ち合いをお願いすることができます。
税務調査専門の税理士を探すには、税理士事務所のホームページを一つずつ調べるのもいいですが、緊急を要するので、税理士探しは税理士紹介サービスを利用するのがおすすめです。
税理士紹介サービスでは、複数の税理士を紹介されますが、料金も気なりますが、できるだけ通いやすい距離にある事務所を選ぶほうが望ましいでしょう。
税務調査は、調査当日の立ち会いだけで済むことは稀で、事前に何度か打ち合わせが必要になることがほとんどです。
また、調査後には税務署との折衝が必要になる場合もあります。
そのため、遠方の場合はフォローが行き届かない可能性があります
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【関連記事】 税理士ドットコム 体験談!税理士との面談前に準備することを紹介
税務調査の流れですが、一般的に電話または郵送で事前通知が行われます。
事前通知の時に、「過去3年〜5年分の調査を行います」などと言われます。
通知から約2週間後に、税務調査が行われるケースが多いです。
日程はある程度、調整することができるので、税理士がいる人は税理士と相談しましょう。
顧問税理士が税務署に「税務代理権限証書」を提出している場合は、税理士にも事前通知が来ます。
税理士とは、事前に必要書類や税務調査の流れ、対処方法などについて打ち合わせをしておきます。
顧問税理士は事業内容や経理・納税の状況を把握しており、税務調査に立ち会う機会も多いので、アドバイスを受けられます。
調査当日は、質問の内容によっては税理士に回答を任せることも可能です
税務調査には2通りあります。
任意調査と強制調査です。
税務調査の多くが任意調査ですが、通称「マルサ」という国税局査察部による「強制調査」が入ることもあります。
任意調査は、事前に調査に訪れる日の連絡が入りますが、「強制調査」は突然、会社だけでなく社長の自宅や工場などにも同時に調査が入ります。
任意調査の連絡は原則として、電話で行われ、税理士に税務代理を依頼している場合は、税理士に連絡が入ります。
税務調査対応をしてくれる税理士と契約していない場合でも、
事前通知の際に即答しないで「税理士と確認してから折り返し連絡します」と伝え、
税務調査に強い税理士を探して依頼することも可能です。
「強制調査」は、裁判所の捜査令状を取っているので調査を拒否することはできません。
「強制調査」が入るということは、悪質で巨額な脱税の疑いがかけられているということですが、噂(タレコミ)だけで立ち入り調査が入ることもあります。
何も、悪いことをしていなければ真摯に対応すれば、相手もプロです。
真面目に経理をしていることをわかってもらえるはずです。
ここでは「強制調査」ではなく、「任意調査」について説明します。
「任意」という名称なので調査を拒否できそうですが、拒否はできません。
任意調査を拒否すると、国税通則法128条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
税務職員には、必要に応じて税務調査を行う権利が法的に認められていて、納税義務者に対して質問・検査等ができる質問検査権が与えられています。
ですので、質問検査権に基づいた税務調査を拒否したり、嘘をついたり、正当な理由がなく帳簿等を見せなかったりすると罰せられます。
「任意調査」といいつつも、実際はほぼ強制と同じです。
しかし、意図的な不正をしていなければ過度に恐れる必要もありません。
主張すべきことがあれば、はっきりと主張しましょう。
任意調査の日程は、税務署が決めた日に必ず従わなくてはいけない。ということはありません。
1週間から1ヶ月の先延ばしなら問題はありません。
「体調が悪くて入院している」「泊まり込み出張で帰れない」
など正当な理由があれば1ヶ月を超えても税務署は待ってくれます。
時期にもよりますが、その後も資料準備などで年末に近い11月頃まで延ばすと、税務署は妥協しやすくなります。
というのも、税務署は年末が忙しく、大きな案件に時間を割きたいので不正取引ではない、少額経費の問題で時間を使う余裕がないからです。
開業したばかりの個人事業主は、利益が出るまでに時間がかかるため、税務調査官にとってはあまりメリットがありません。
しかし、事業が軌道に乗り、利益が出始めると、調査が行われる可能性が高くなります。
また、3年目からは消費税が課税されるため、帳簿の整備が重要になります。
このような理由から、開業してから3年後には、税務調査が入る可能性が高くなります。
税務調査は、通常4〜5年に1度程度の割合で行われていますが、それ以上の長い期間、税務証の実地調査を受けていなければ、いつ税務調査が入ってもおかしくありません。
また、これから紹介する業種、事業者は税務調査が入る確率が高くなります。
過去の申告内容で不正の発覚件数が多いため、税務調査のマーク対象としている業種
*シェアリングエコノミー、FXやオークションなど、インターネット取引を主とするIT関連業種や飲食業、風俗業、建築関連業など
税務署が運用しているKSKシステムでは、同じ業種や規模の企業と比較したり、前年度や平均値と比較したりすることができます。
申告した金額に大きな変動があった場合、このシステムでピックアップされます。
異常値と判断されれば、税務調査の対象になります。
売上の伸びよりも経費の伸びが増加していると、経費の水増しが疑われ特に調査対象になりやすいです。
赤字が続いている場合でも、何か不正を働いて赤字となっている可能性がある場合には、調査の対象となることがあります。
消費税を納めなくてもよい売上1,000万円未満で確定申告し続けると税務調査が入る可能性が高いです。
個人事業主が売上1,000万円以下で申告し続けている場合、帳簿操作していると思われ消費税の脱税を疑われます。
税務署は、同じ業種や同じ規模の事業と比較したりして常にチェックしています。
異常値が出ていたりすると、税務調査の対象となる可能性があるでしょう。
既に税務署のターゲットとなっているかもしれません。
国税庁が令和3年11月に発表した「令和2事務年度 法人税等の調査実績の概要」から上位10社をまとめてみました。
順位 | 業種目 |
不正発見割合 (%) |
順位 | 業種目 |
不正発見割合 (%) |
---|---|---|---|---|---|
1 | バー・クラブ | 53.7 | 2 | 外国料理 | 52.0 |
3 | 美容 | 37.5 | 4 | 医療保険 | 36.7 |
5 | 生鮮魚介そう卸売 | 36.2 | 6 | 一般土木建築工事 | 36.0 |
7 | 職別土木建築工事 | 36.0 | 8 | 中古品小売 | 33.3 |
9 | 医療関連サービス | 33.3 | 10 | 土木工事 | 33.2 |
出所:国税庁「令和2事務年度 法人税等の調査事績の概要」
ご覧のように、建設関係が上位10社の中に3業種も入っています。
1件当たりの不正所得金額も一般・職別土木建築工事が1,800万円以上、土木工事は1,300万円以上と、
高額なことから調査対象となりやすいです。
建設業が、税務署の調査官からは注視するべき業種と認識されていると考えていいでしょう。
対策としては、建設業の税務調査対応に強い税理士に相談し、調査時のポイントを抑えた早めの対策をとっておくことです。
前回の調査で多額の申告漏れや計上ミスなどの不正を指摘された場合は、再調査の期間が短くなることがあります。
申告書を提出しなければ、調査対象にならないと思っている人は多いのですが、
無申告は、税務署がもっとも力を入れている調査対象です。
無申告は、取引先の調査、第三者からのタレコミ、銀行の履歴などから、いつか必ず税務署が知ることになります。
税務調査が入る時期は決まっていませんが、4月から5月、7月から12月に多く実施される傾向があります。
4月〜 5月:確定申告が終了
7月〜12月:国税局や税務署の人事異動が落ち着く頃
法人の場合は決算期に関係します。
7月〜12月:決算期2月〜5月
1月〜 6月:決算期6月〜1月
日本の会社は3月決算が多いので、7月〜12月に税務調査が実施されることが多くなっています。
税務調査が任意調査で行われる場合、調査の時期で税務署の深刻度がわかります。
任意調査には3つのパターンがあります。
1に該当する税務調査は、ほぼ7月〜12月に行われます。
2,3に該当する場合は1月〜6月までの調査がほとんどです。
どうしてか、その理由を説明します。
税務署は毎年7月に定例の人事異動があります。
7月に新しい税務調査チームが発足するのですが、人事異動の評価は前年の7月〜12月の実績で決まります。
ですので、7月〜12月に行われる税務調査は気合が入っているのです。
1月〜6月に行われる税務調査は消化試合のようなもので、面倒にまきこまれないようにあまり厳しく税務調査は行いません。
この時期に任意調査に入られた場合は、納税者の言い分をかなり聞いてくれることがあります。