相続税を相談するのは税理士?弁護士?司法書士?公認会計士?
税金のことだから、とうぜん相続税の相談は税理士にするものだと思いますが、そうでもないのです。
というのは、弁護士や公認会計士も試験に合格すれば税理士の資格も一緒に貰えるのです。
ですので、弁護士や公認会計士は税理士の資格もホームページに掲載しているところが多いです。
だから、相続税の手続きを弁護士や公認会計士に頼む人もいます。
相続税の相談 公認会計士、弁護士
相続で親族で、もめそうという時には、弁護士の資格もあると心強いと思いますよね。
また、公認会計士だと税理士よりも格が上のような資格と思われがちなので、税理士に頼むよりも信頼がおけそうと思われています。
弁護士や公認会計士の資格を取得すると、自動的に税理士の資格も取得するのですが、会計士は企業会計が主な試験科目で、「相続税法」の試験科目はありません。
【公認会計士の試験科目】
短答式試験:財務会計論、管理会計論、監査論、企業法
論文式試験:財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法
選択科目:経営学、経済学、民法、統計学
弁護士も試験科目の中に「相続税法」は入っていません。
【弁護士試験科目】
公法系科目:憲法及び行政法
民事系科目:民法、商法及び民事訴訟法
刑事系科目:刑法及び刑事訴訟法
選択科目:倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際法(国際公法)、国際関係法(私法系)
*選択科目は8科目から1科目を選択。
それでも、相続税の相談を受けることができるのです。
弁護士に依頼できること
- 遺言書の検認
- 相続放棄、限定承認
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 遺産分割協議、調停、審判の代理
- 遺留分侵害額請求の代理
- 預貯金使いこみの責任追及
- 遺言書が無効であることを確認する手続き
費用の目安
- 遺産分割調停の場合、着手金が30万円〜
- 相続放棄遺産分割協議書の作成なら10万円程度
相続税の相談 司法書士
また、司法書士も相続の仕事を請け負ったりするのですが、司法書士は不動産登記(名義変更)や、会社経営者や会社役員が亡くなった場合の死亡登記を行うのが主業務で税理士の資格は持ち合わせていません。
ですので、相続税の税金に関しては税理士にお願いすることになります。
【司法書士の試験科目】
民法、不動産登記法、商法・会社法、商業登記法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法、供託法、刑法、憲法
司法書士に依頼できること
- 遺言書の検認
- 相続放棄、限定承認
- 相続人調査
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産登記(名義変更)
費用の目安
- 不動産登記 10万円程度
相続税の相談 税理士
ということは、やはり相続税の相談は税理士に頼んだほうが良いということになるのですが、実はここでも問題があるのです。
税理士でも「相続税法」を勉強していない税理士が多いのです。
税理士の試験科目は11科目あるのですが、選択制で11科目のうち5科目を受験し合格すれば税理士になれるのです。
「相続税法」は選択科目です。
現実、選択科目で「相続税法」を受験する税理士は10%しかいないのです。
【税理士の試験科目】
必須科目:簿記論、財務諸表論
選択必須科目:法人税法、所得税法
選択科目:相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税
そのために、税理士、弁護士、会計士を問わず、相続税に関わるクレームが頻繁に起きているのです。
費用の目安
- 遺産総額×0.5〜1%
相続税のクレーム例
例えば、県で5本の指に入るという有名税理士が、土地の評価で単純なミスをして約1,000万円も余分に支払うことになったことがあります。
もっと大きなクレームの事例では、2000坪という広大な土地の相続で、1億9000万円の相続税を余分に支払うことなった事例もあります。
前者は、「小規模宅地等の特例」適用のミスで、後者は「広大地評価」の特例を見逃がして起こった事例です。
どちらも、高い税額に不信感を抱いて他の税理士に相談してミスによる過大な支払いが発覚したのです。
税務署は、税金を少なく支払うと、追加徴収を求めてきますが、「多く払ったもの」については知らん顔です。
払い過ぎた税金に関しては、「更正の請求」という還付請求をすることになりますが、一定の審査基準もあり、粘り強い交渉が必要になってきます。
それでも100%請求が認められるという保証はありません。
これらの事例は、たまたま運が悪かっただけ?
いいえ、そうではありません。
これらのケースは氷山の一角なのです。
説明したように、「相続税法」の勉強をして試験に合格した人は1割もいないのです。
事務所が大きい会計事務所だから、たくさんの税理士を抱えているから、相続税に関してはまかせて安心というものではありません。
ただ、企業会計に強い、青色申告に強いだけであって、相続税に関しては無知なのかもしれないのです。
実際に、相続税を取り扱ったことがある税理士は少ないのです。
1年に1回も請け負ったことがないとか、事務所を開設して以来、一度も相続税を取り扱ったことが無いという税理士がほとんどなのです。
こんな税理士にお願いすると、大変な目にあう可能性があります。
相続では財産内訳のうち約4割が不動産
相続税の納税額は土地をいくらで評価するかによって決まると言ってもいいでしょう。
一物四価(1つの不動産に4つの価格がある)といわれるくらい、不動産の評価額は難しいです。
売買取引評価ではなく、相続税において時価評価(鑑定評価)の視点が必要になります。
税理士になるための試験で土地評価の問題は出ません。
そのため、知識や経験の浅い税理士に委ねると、前述したように1億9000万円を余分に支払った事例だけでなく、正しい評価の数倍以上の相続税を支払う事例がいくつも起きているのです。
例えば公図を見て縄延び・縄縮み(登記記録の面積と実際の面積が異なること)に気がつくには経験を積んでいないと見逃してしまいます。
個性の強い土地をお持ちの方は特に、相続経験豊富な税理士に相談をすることをおすすめします。
相続に強い税理にお願いする
では、どうすればいいかというと、試験で「相続税法」の科目を受験し合格した人で、相続税を専門に取り扱っている経験豊富な税理士に頼むのが一番です。
でも、残念なことに一般の人には、どの税理士が試験で「相続税法」を選択したか、相続税に精通しているのかわかりませんよね。
ホームページをみてもどこも、相続税取り扱っていますとしか書かれていません。
今まで、一度も取り扱ったことがなくてもです。
ですので、税理士に頼む時には、税理士試験で「相続税法」を選択して合格しているか?
今まで、何件の相続税を取り扱ったことがあるか経験を聞く事をおすすめします。
でも、こんな質問は、なかなか面識もない税理士に尋ねることは難しいと思います。
面識があっても失礼に当たると思いなかなか聞けません。
もしかして一度も取り扱った経験がないのに、仕事欲しさに経験豊富のようなことを話すかもしれません。
そうなったら、こちらはお手上げです。
どれだけの案件を取り扱ったことがあるのかは調べる方法が無いのですから。
でも、今なら税理士紹介サイトがあるので、そこに相談することで実績、経験豊富な税理士を紹介して貰うことができます。
相続税取り扱いの経験豊富な税理士を複数人紹介してもらえます。
税理士とあなたの間に税務専門のコーディネーターが入り、聞きにく「相続税法」試験のことや今までに相続税を取り扱った件数も確認してくれます。
1人だけでなく、希望すれば複数の税理士を紹介してもらえます。
断るときも、コーディネーターが断ってくれるので気まずい思いをすることはありません。
しかも、何人紹介してもらっても無料なのです。
あなたは紹介してもらった税理士と面接をして、あなた自身で確かめ、この人ならという税理士を選ぶことができます。
必要であれば士業どおしの繋がりで弁護士も紹介しもらえます。
これなら、あとで後悔することはないでしょう。
早ければ、その日のうちに紹介してもらえます。
税理士紹介サイトだけでなく、今はこんな相続税専門の相談窓口もできています。
今は昔と違って、税理士を選ぶことができるのです。
相続税を過小申告した場合
相続税を意図的に過小申告して、しばらく税務署から調査もないことから安心する人が多いのですが、
税務署の調査は被相続人が死亡してから、おおむね2〜3年以内に始まることが多いですが、3年を過ぎてからも調査が入ることがあります。
調査は、被相続人の預貯金関係だけでなく、家族名義の預貯金も調査の対象となります。
税務署は名義預金などの隠し資産を入念に調べます。
3年が経過したので隠していた現金を預金したら税務署に知られることになり申告漏れを指摘されるケースもあります。
預金は隠し通すことがまずできないと思った方がいいでしょう。
「延滞税」「重加算税」
相続税の申告漏れを指摘されると、多額の税金が加算されます。
「延滞税」と「重加算税」です。
延滞税
- 納期限から2ヵ月以内の遅延:税率7.3%、
- 3ヵ月目からは税率14.6%
加算税
行政上の制裁として課される税金
加算税には2種類あります
- 過少申告加算税:税率は5〜15%
- 重加算税:税率は35〜40%
2つの税の違いは、意図的に仮装・隠ぺい行為をしたかどうかで判断されます。
税率40%って凄くないですか?
脱税は必ず発見されると思って、無駄な税金を支払わなくてもいいように、正しい申告を心がけましょう。