相続税を自分で申告する前に純財産の確認
相続する財産が多い場合は、税理士に初めから依頼しようと思いますが、相続財産が少ない場合は自分で申告しようと思いますよね。
では、まずあなたが相続税を納める義務があるのかを確認しましょう。
相続する純財産
- 現金、預貯金
- 株式、有価証券
- 不動産(土地、畑、建物、山林など)
- 動産(自動車、家具、機械など)
- 著作権、特許権
- 交通事故、医療事故などの損害賠償請求権
- 債権(売掛金、貸付金など)
- 債務(借金、買掛金、補償債務など)
相続する財産は、貯金、現金、不動産だけではありません。
借金、ローンなど負債も財産なのです。
遺産を相続する場合は負債だけは相続しないということはできません。
遺産を相続すれば、負債も相続することになります。
遺産総額から負債を差し引いた金額が、次の基礎控除金額よりも少なければ、相続税の申告をする必要はありません。
遺産控除金額
3000万円+600万円×法定相続人の数
どうですか?あなたは当てはまりましたか?
もし、当てはまらない、微妙という方は次の手順で相続税の申告をしましょう。
国税庁の発表によると平成30年の相続税の申告の割合は、8.5%だそうです。
【平成30年に1,362,470名が亡くなられた方の相続税申告書の提出は116,341名(約8.5%)】
相続税申告のしかた
国税庁のホームページから相続税の申告書がダウンロードできます。
また、「相続税の申告のしかた」も説明されています。
ですので、まず国税庁のホームページから書式を取り出し、書き始めましょう。
ただし、毎年税法は変わりますので最新版を選んでください。
相続税の申告のしかた(令和2年分用)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2020/index.htm
記入するにあたって、難しい専門用語「課税価格」「法定相続人」「基礎控除」「課税価格」「取得財産」「純資産価格」などなどが登場します。
専門家でないとなかなか理解できない馴染みのない言葉ばかりですが、これは一つ一つ調べるしかありません。
これを10ヶ月以内に提出します。
どうです、できそうですか?
相続税申告する前にしておくこと
次の項目は相続税の申告をする前にすませておいて下さい。
- 相続人の確定:戸籍謄本で法定相続人を確認
- 財産目録の作成:相続発生日時点の財産と債務
- 遺言書の有無の確認
- 遺言書がない場合は遺産分割協議:相続人全員の合意が必要
けっこう、大変そうでしょ?そう、大変な作業なんです
ハッキリ言いますが、相続税の申告は自分でしないで、税理士に任せた方がいいです。
相続税の申告を自分でするということは、税理士に支払う費用を節約したいということだと思うのですが、逆に税の知識がない素人が行うことで、節税の特典を活用できずに、余分な税金を支払うことにもなりかねません。
また、やれやれ無事に相続税の申告を済ませたとホッとしていても、1年後には税務調査に入られる可能性が高いです。
実際に相続税の申告では10〜20%の人に税務調査が入っています。
このときに、税理士に相続税の申告を頼んでいれば税務署に追徴課税が発生しないように対応してくれます。
ですが、自分で申告した場合は、一人で税務署員に対応しなくてはいけません。
そして、まず100%に近い確率で、過少申告加算税や延滞税といったペナルティを支払うことになります。
仮に、相続税を多く払い過ぎていたとしても、多い分には税務署は頬かむりで、難しい手続きをしないと税金を払い戻してくれることはありません。
相続税には、いろいろな特別控除枠があります。
「小規模宅地等の特例」「配偶者の税額軽減」「配偶者控除」「未成年者控除」などです。
また、相続財産が土地の場合は、地目や形状によって評価の仕方が異なります。
専門知識や経験がないと評価が非常に難しいです。
これを評価するのには一般人には難しいでしょう。
税理士に頼めば、不動産など金額のわかりにくい財産の評価、遺産分割協議書の作成、納付書の作成などを行ってもらえます。
相続人の事情に合わせて、延納などの分割納付の提案もしてくれます。
税理士の相続申告費用
税理士事務所ごとに違いますが通常「遺産総額×0.5〜1%」です。
ただし、相続人や相続財産の数が多く内容が複雑だったりすると追加料金が発生することがあります。
税理士に依頼する前に
いきなり税理士に依頼をするのではなく、相談から始めましょう。
まずは、財産目録ができあがったら正式に税理士に依頼する前に面談を予約します。
無料で相談に乗ってくれる税理士も入れば、1時間5,000円の相談料を請求する税理士もいます。
できたら複数の税理士と面談することをおすすめします。
依頼する税理士が決まったら、見積書を出してもらいましょう。
追加報酬や成功報酬の有無の確認は必ずしてください。
後になって、予想以上に料金が高くなってしまったというトラブルを防ぐことができます。
税理士を選ぶ基準
これがなかなか難しいのですが、基本報酬が比較的高く設定されていても、節税額が多ければ最終的にコストパフォーマンスはよくなります。
「高いからぼったくりだ」と判断する前に総合的な観点で判断することが大事です。
そのためにも複数の税理士と面談することをおすすめします。
また、税理士報酬が異様に安い場合には注意が必要です。
前述したように土地などは評価がとても難しいのですが、しっかりした税理士なら現地調査をします。
しかし、報酬が安い税理士は現地調査に足を運ばないばかりか、適切な節税対策をしないで手続きに必要な様々な項目を最大限省いている可能性もあります。
相続税申告を依頼するおすすめ税理士
税理士でも得手不得手があります。
一般の人でも相続に関係するのは両親が亡くなった場合の人生に2回ぐらいだと思います。
税理士もそうであるように、場合によってはまったく相続税の申告を取り扱ったことがない税理士もいます。
相続税の税法は毎年変更になっているので、とにかく相続税の取り扱いを専門に行っている税理士に頼むのがベストです。
相場がよくわからないまま、専門的なことを引き合いに出され、言われるがままにお金を払うことになるのは避けたいものです。
そのためにも、事前にホームページや電話などで確認をしておきましょう。
といっても、相続税に強い税理士を複数探すのは大変。
今なら、こんな便利な紹介サイトもあります。
利用者は無料で紹介してもらえるので、まずはここで複数の税理士を紹介してもらい判断したらどうでしょう。
何人紹介してもらっても無料です。
早ければ、申し込んだその日のうちに紹介してもらえます。
弁護士に頼むケース
遺産分割協議でもめた場合
相続人の間で争いが起きた場合には、各相続人の代理人として専門的な知識を持つ弁護士が対応してくれます。
遺言書の内容に納得がいかない場合
法律は兄弟姉妹以外の相続人に最低限の遺留分を認めています。
遺産が遺留分額を下回っている場合は、遺留分侵害額請求を行うことができます。
司法書士に頼むケース
不動産の相続登記(名義変更)、会社経営者や会社役員の立場の方が亡くなった場合には、取締役の死亡登記を行う必要があります。