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相続財産よりも借金などの負債が財産を上回る場合、マイナスの資産を相続することから相続放棄を選択する人がほとんどです。
ここでは相続放棄に関する裏ワザを5例紹介します。
ひとつづつ順番に説明します
相続放棄をすると、被相続人の財産である自宅も相続できなくなってしまいます。
そのため、同居していた家族が今まで住み続けていた自宅から出ていかなくてはなりません。
しかし、裏ワザの限定承認の手続きをすることで財産放棄しても自宅に住み続けることができます。
持ち家を残すことができるのです。
また、相続放棄しても生命保険金を受け取ることができます。
限定承認とは聞きなれない言葉ですが、たとえば被相続人が資産よりも負債(借金)が多いかわからない場合や、
持ち家など必ず残したい財産がある場合に使われます。
借金がなく資産だけだと思い、相続手続きをするとあとで、借金の方が多かったことがわかり相続人が苦労することがありますが、
そんな事態も限定承認の手続きをしていれば防ぐことができます。
後から巨額の借金が見つかったとしても安心です。
逆に思ったよりも借金が少なく相続資産から差し引いても財産が残った場合は、その残りの財産を相続することができるので安心してください。
では限定承認がどういう内容かについてお話しします。
まず、この手続きは相続人になったことを知った日から3ヶ月以内に、相続人全員の同意を得て家庭裁判所に申請をします。
【必要書類】
・相続の限定承認の申述書
・被相続人の除籍・原戸籍謄本(出生から死亡まで)、住民票除票
・相続人全員の戸籍謄本・住民票
*裁判所:相続の限定承認の申述書ダウンロード
申請には、財産目録を添付する必要があるのですが、期間内に確認が間に合わないとか、
相続人全員の同意に時間がかかる場合には、家庭裁判所に申し立てることで、期限を延長することができます。
持ち家は債権者への弁済にあてる原資をつくるために、原則として裁判所を通じて競売にかけられます。
しかし、限定承認の申請をしておくことで、優先的に買い取ることができる先買権を使って持ち家を取得することができます。
当然、費用が発生しますがその費用は生命保険金をあてることができます。
【例】
・相続財産:2,000万円
・相続借金:8,000万円
・生命保険:5,000万円
・法定相続人:1人
ここではわかりやすく、2,000万円は持ち家の土地・建物だけとします。
限定承認を申請することで、相続財産の2,000万円だけを相続することができます。
しかし、相続借金と相殺されてゼロになってしまうのでまだ持ち家は相続できません。
借金の残りは6,000万円に減りますが、この借金は限定承認により背負うことはありません。
そして土地・建物が競売にかけられるのですが、ここで相続人が先買権を使って入札することで、持ち家が手に入るのです。
入札金額は入札によって変動しますが、ここでは2,000万円で入札したとします。
手元に資金がなくても生命保険金の5,000万円の中から、支払うことができます。
(相続放棄をしていてもその保険金を受け取ることができます。)
残りの3,000万円は相続人の手元に残ります。
限定承認をしたことで、生命保険金を受けとることができなくなるということはないので安心してください。
ただし、生命保険金の5,000万円には相続税の90万円がかかります。
(計算方法は、このあとに説明しています。)
限定承認は自宅に住み続けるには、とても有利な手続きです。
【家庭裁判所 費用】
・手数料:相続人1人につき収入印紙800円分
・家庭裁判所との連絡用郵便切手代…数百円程度
・戸籍謄本:450円
・除籍・原戸籍謄本:750円
・住民票の除票:300円程度
◆注意
限定承認が受理される前に、相続財産を少しでも処分してしまうと、自動的に財産を相続したとみなされてしまいます。
その結果、限定承認や相続放棄ができなくなるので注意してください。
【関連記事】
相続 限定承認のメリット、デメリット。手続き費用をわかりやすく解説
死亡保険金は、相続財産とは別に受け取った人のものです。
したがって、相続放棄をしていてもその保険金を受け取ることができます。
もしもあらかじめ相続放棄が決まっている相手に財産を残す場合には、生命保険金の受取人に指定することも可能です。
ただし、生命保険金は相続財産ではありませんが、相続税法上では「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
・非課税枠:500万円×相続人の数
・基礎控除:3,000万円+600万円×法廷相続人
・相続税率:1,000万円以下 10%
・5,000万円ー(500万円×1人)=4,500万円
・4,500万円ー(3,000万円+600万円×1人)=900万円
・900万円×10%=90万円
生命保険金の5,000万円にかかる相続税は90万円です。
相続財産を渡す方法として、生前贈与があります。
被相続人が健康なうちに、贈与したい財産を相続人に渡すことができます(ただし、相続発生前3年以内の生前贈与は除きます)。
生前贈与のメリットは、希望する財産を確実に受け取らせることができることです。
例えば、特定の相続人に家を与えたい場合、事前に生前贈与することで、他の相続人が遺産分割協議で家を得ることを防ぐことができます。
ただし、年間110万円を超える贈与は高額な贈与税の対象になることがありますので、注意が必要です。
債務整理をすることで債務を軽減またはゼロにすることができます。
債務整理には、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つの方法があります。
1.任意整理
債務者と債権者が直接話し合いをし、利息のカットや月々の返済額の軽減で合意します。
法廷を通さないので手続きは早く、2?3か月で結論が出ますが、借金額の大幅な減額は期待できません。
2.個人再生
裁判所から「再生計画」の認可を受け、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
自宅や自家用車などの財産を手放す必要はありませんが、3〜5年で借金を返済する計画を立て、一定の収入(年金収入を含む)があることが条件です。
3.自己破産
家庭裁判所から「自己破産」の認可を受け、借金をゼロにする手続きです。
借金が完済できないほど深刻な場合には、全ての財産を没収されますが、自己破産後に得た収入は没収対象外となるため、生活を立て直すことができます。
相続放棄手続きでは、数多くの書類を揃える必要があります。
しかも、書類の発行には手数料がかかります。
1通あたりの手数料は数百円とはいえ、必要な書類すべてを揃えると、数千円の手数料(および発行にかかる時間)がかかることもあります。
しかし、複数の相続人がそれぞれ相続放棄の意思を持っている場合、裏技として「複数人で同時に相続放棄を申し立てる」ことができます。
原則として、相続人は一人ひとりで相続放棄手続きを行う必要がありますが、複数の相続人が一緒に家庭裁判所に申し立てを行うことで、費用を節約することができます。
各自で「相続放棄申述書」を作成しますが、共通する書類(被相続人の戸籍謄本など)は1通のみで構いません。
ここまで財産放棄の裏ワザをざっと書いてきましたが、実際の手続きはとても複雑です。
できれば専門家のサポートを受けながら進めたい制度です。
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ここからは、限定承認も使わずに、財産放棄した不動産についてお話しします。
これは覚えておいてほしいのですが、田舎の家や山林など相続放棄しても管理責任を免れることはありません。
相続放棄すれば管理もしなくていいと考える方が多いのですが、相続放棄しても不動産等の管理義務が残ってしまうケースがあります。
民法の940条に定められています。
民法940条
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
相続人が複数の場合は、最後に相続放棄をした人が遺産を管理する責任をおいます。
管理をしていなかったために損害賠償請求されることもあります。
・壁が倒壊して通行人にけがをさせた。
・田舎の家を放置していて放火され燐家まで延焼してしまった。
など第3者から損害賠償請求される可能性があります。
そんな賠償から免れるためには、相続放棄をした相続人が家庭裁判所で「相続財産管理人」を選任する必要があります。
相続財産管理人に遺産を引き渡すことで、相続放棄者は遺産の管理から免れることができます。
【費用】
・収入印紙:800円
・郵便切手:数千円
・予納金:20〜100万円
予納金は、相続財産管理人が遺産の清算を進めるのに必要な経費、報酬です。
田舎の家や山林などを所有していた場合、財産放棄をしたからといって安心しないでください。
相続する資産よりも借金お方が多いからと、早々と財産放棄するのも一つの方法ですが、
似たような言葉ですが、相続放棄と相続分の放棄は内容はまったく違いますので注意してください。
相続財産も相続債務も承継を全面的に拒否するものです。
相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述を行うことが必要です(民法第915条)
時期に制限はなく、家庭裁判所へ申述を行うことも必要ありません。
自分より上に順位の相続人に、署名押印(実印)された書面で行われます。
書面は「「私は、亡○○の相続につき、その保有する相続分の全部を放棄いたします。」と書いて署名押印するだけです。
しかし相続分の放棄は、あくまで相続財産の承継を放棄するもので、相続債務についての負担を免れるものではありません。
ですので、「相続分の放棄」では借金から逃れらることはできません。
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